この夏は電車を増やして「節電」しよう

昨日・今日と、ぐっと暑くなってきました。

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銀座線電車。窓が開けられている。(27日撮影)


電車では節電のため冷房を使わず、窓を開けていましたが、だからと言って不快なことは無く、まだ今の時季は、朝の混雑時でもなければ、窓を開ければ充分涼しいものです。むしろ、以前は余分な冷房での冷えに備えて上着を持って出かけていたところですが、今は事務所や店なども空調を控えめにしているので、荷物が軽くなりました。

写真の銀座線01系はちょうど地下鉄に冷房が入り始めた頃に投入された電車なので窓が開きます。昔は中間期には冷暖房が使えない車両が多かったのですが、最近は空調使用が当たり前になり、むしろ空調は全期間通して使えるようにして、窓が開かない構造の車両も増えてきました。可動部が減ることでおそらくコスト削減には寄与しているのだと思いますが、一方で通年空調が必要になります。乗客が電車の窓を開けて車内温度を調整することは、昔は当たり前でしたが、今になって思うと、自然と共生する智恵と言えるのかもしれません。

さらに、銀座線に乗っていると、セクション間で第三軌条に集電靴が入る時のカチャカチャという音が聞こえます。この昔は当たり前のように聞こえていた音が、今ではとても懐かしく思えます。そのまた昔は駅に入る直前で一旦車内灯が消えていた頃もあるのですが、今ではもう、その時代のことを知らない人も多いでしょうか。

いずれもこの数十年の間に実施された改良で、すっかり変わった印象があります。でも、仮に10年前に戻ったとしても、実はあまり困ることは無さそうです。身体の不自由な方向けのエレベータは今でも使えるようになっています。今止まっている照明やエスカレータは、実は無くてもあまり困らない物かもしれません。また、銀座線や丸ノ内線など比較的浅い所を通っている路線はともかく、最近開設される路線は深い所に駅があるので、おのずとエスカレータや照明が多くなります。照明やエスカレータが多い方が便利というものではなく、今後はむしろ欧州のように地上にLRTを通す方が、便利と節電を両立できると言えそうです。

ところで、鉄道は3月14日からの「計画停電」の対象とされ、大混乱したことは記憶に新しい所ですが、いくら緊急対応と言ってもお粗末だった政府・東京電力の対応を受けて直ぐに国交省が仲裁に入り、数日ほどで、鉄道各社による電力使用量の自主的な削減と引き替えに電力の安定供給が再開されるようになりました。こうした経緯を受けて、鉄道各社では今でも2割程度の減便や照明・エスカレータ・券売機等を停止するなどの節電対策が実施されています。

3月14日には多くの教訓を得ました。電車は少なからず電気を使いますが、電車を止めてしまうと多くの人が日々の生活を送れなくなってしまいます。一方で、前述のエスカレータや照明のように止めてもあまり困らないものもあります。優先順位の付け方が重要です。

また、電車に乗れなかった人が自転車に乗り換えてくれるのならまだいいのですが、困ったことに政府・東電は鉄道各社に節電を求めながら、自動車の使用は野放しなのです。

この夏、もし電車が減ったぶん自動車に乗り換える人が増えてしまったら、都心は熱射地獄と化すでしょう。ただでさえヒートアイランド現象の深刻化が問題になっていますが、ガソリン1Lは約8400kcalもの熱量を持っており(経産省エネルギー源別発熱量表(PDF)より)、これは常温の水100Lを沸騰させるほどの膨大な熱量です。このほとんどが大気中に排出されているので、エアコンにさらに負担をかけ、電車を減らしたことで電気使用量をむしろ増やしかねません

このように、交通は鉄道だけ、自動車だけの対策ではうまく機能せず、つなげて考えることが必要な分野です。
短絡的に「電車を減らせば節電になる」と思う人がいるかもしれませんが、実際はむしろ逆効果になりかねません。そんな片手落ちの「名ばかり節電」ではなく、全体で省エネになるかしこい節電が出来るよう、今から準備しておく必要がありそうです。

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この夏は電車を増やして「節電」しよう” への8件のコメント

  1. クルマに乗れば、それ以外の節約の努力が水の泡。①「今年の夏は都区内で車に乗るな」 http://bit.ly/hoTQVA②「この夏は電車を増やして「節電」しよう」http://blog.sltc.jp/2011/04/28/75

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