「eシフト」への参加について ~エネルギー政策は省エネ+自然エネで!

14日付けのお知らせに掲載の通り、当会は「eシフト」(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)に参加させていただくことにしました。交通の会がなぜエネルギー?これは温暖化対策などでも言われましたが、交通と同様の問題を抱え、密接な関係にあると考えています。

■破綻したエネルギー政策

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極端な節電、一方でクルマは野放し…

3月11日の原子力発電所の大事故とその後の「計画停電」は、震災・津波被害の救援・復旧の足枷になるとともに、従来のエネルギー政策を破綻させました。電力会社は法律による地域独占と引き換えに約束していた安全確保や安定供給の責を自ら放棄せざるを得ない状況に陥りました。地球温暖化対策で求められていた「中期目標」は2020年までに25%削減でしたが、それが突然目の前に突きつけられ、まさに「ハード・ランディング」する格好になってしまいました。

※法律や政策には目的があり、その目的のために個別の施策や規制が設けられています。ここで言えば電気事業法原子力基本法エネルギー基本計画などですが、「安定供給の確保」や「環境への適合」などのために進められていたはずの原子力利用の推進が、目的と逆の結果を生んでしまいました。

■交通政策とエネルギー政策の切っても切れない関係
このエネルギー問題、私たちが取り組む交通分野も無関係ではいられません。例えば、3月14日より実施された「計画停電」は旅客・貨物の交通に甚大な影響をもたらしましたが、この影響は今も続いており、日中は列車が減らされて混雑する上に、暑くても冷房が切られている車内で汗をかきながら乗っているような場面もあります。一方で「マイカー」利用が全く制限されていないことから、このままでは鉄道から自動車への逆モーダルシフトが起きるのではと心配されています。自動車は膨大な熱を捨てながら走っていますので、ヒートアイランド現象を助長し、節電するハズが逆に冷房需要を押し上げてしまうかもしれません。

つまり、交通政策で失敗するとエネルギー政策にも跳ね返るし、逆も然り。机上で考える時は全く別々でも、実社会に出れば相互に関連し合うのです。

■供給側・需要側の両面から取り組みが進む欧州
では、今後のエネルギー政策がどうなるのか、どうすべきなのか。
東京電力の原発事故から真っ先に学び取ったのは欧州でした。日本の原発大事故を見たドイツ、スイス、イタリアなどの市民が立ち上がり、政治はその声を受けて相次いでエネルギー政策の転換を決めたと伝えられていますが、その替わりとして今後は自然エネルギーをさらに大きく伸ばす計画を立てているようです。この流れは左記の国に限った話ではなく、日本でも合理的かつ現実的な選択肢でしょう。
一方で、今すぐ使える自然エネルギーは、石油(大昔の自然エネルギーが長い年月をかけて濃縮されたもの)に比べれば当然に密度が低く、使い勝手が良くないという課題もあります。と言っても石油ピークが指摘され、地球温暖化問題もある中で、化石燃料に依存し続けることはできません。まちづくり百年の計と言われる中で、100年後も今のように安価な化石燃料を大量に安全に使い続けられる確証が無いのであれば、依存すべきではありません。

すると、限られたエネルギーをかしこく使いながら良質なサービスを提供する必要があります。私たちが取り組む地域交通分野で言えば、莫大なエネルギー消費が前提になる「マイカー」利用は減らしながら、エネルギー効率が高い公共交通や自転車の利用が優先されるまちづくりが不可欠になるでしょう。
これは、欧州などで進められている地球温暖化対策がほぼそのまま当てはまります。唯一適用できないものは、原子力発電のような高密度エネルギーの利用を前提にした電気自動車のみ。それ以外の政策、たとえば公共交通や自転車の利用が便利で快適になるよう車道配分を変える、LRTやBRTなどで路面公共交通を高度化する、ゾーン20・30などで歩く人を安心・安全・快適にする、人が集まる施設を駅前に集中させるコンパクトシティ化などがありますが、こうした交通・まちづくり政策の転換は既に欧米などの諸都市で取り組まれ、成果が出ています。
(参考)
ブラジル・サンパウロで開催されたC40「大都市気候変動サミット」での事例報告を伝える記事(英語)
C40公式ホームページの先進事例紹介(英語)

■日本の欠点は技術ではなく制度・政策
欧米には出来て、日本には出来ないのでしょうか?そんな事はありません。むしろ日本の多くの地方都市ではかつて公共交通が便利に発達していましたし、首都圏や関西圏のように今も公共交通が便利な地域もあります。平成20年の調査で現に川崎市や東京23区では交通手段分担率の8割を徒歩・自転車・公共交通が担っています。さらに、ある試算によれば、東京では交通政策の工夫などにより、利便性を損なわない範囲で交通部門のCO2を半減させることが出来ると言われています。

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2011.06.15 「再生可能エネルギー促進法」要望書を菅首相に託す

つまり、要素技術やインフラ、土地利用などに関しては、日本の多くの都市は欧米以上の可能性を持っていると考えています。しかし主に政策・制度的な課題から、立ち遅れているのが実情です。

あれ、どこかで聞いたような?日付変わって昨日・15日に国会議員会館で開催された『「エネシフ・ナウ!」通そう今国会で「再生可能エネルギー促進法」!の席で菅首相が指摘されていた、日本は制度的な問題で自然エネルギーが30年遅れてしまったと言う事と、まさに同じ事が交通・まちづくり分野でも起きています。
経団連などは今もなお原発推進を求め、再生可能エネルギーの積極利用に強硬に反対しているようですが、負の連鎖を断つためには私たち市民の声を高め、利益団体の言いなりになる政治は廃し、今こそ市民目線で制度・政策を作り直す必要があるでしょう。
※『「エネシフ・ナウ!」通そう今国会で「再生可能エネルギー促進法」!』の話は別の機会にしたいと思います。

■新しいエネルギー政策は供給側だけでなく需要側の視点も必要
従来のエネルギー政策は、原発のような高密度エネルギー利用を前提とし、それが余る夜間の対策として夜間電力料金を格安に設定し、ヒートポンプを普及させ、さらに電気自動車普及策にもつながっていました。
こうした中央集権・大量生産・大量消費という20世紀型の考え方は、一度天災などで寸断されると途端に大混乱を引き起こす、持続不可能なものであることが判明しました。

今後のエネルギー政策は、供給側では自然エネルギーのような分散型エネルギー源を上手に使っていくことが求められますし、分散させることでリスク緩和にもつながりそうですが、こうしたエネルギー源はどうしても密度が高くない分、使う側も柔軟になる必要がありそうです。
こうしたエネルギー政策は当会の主力分野ではないものの、密接不可分な分野ですし、今後は需要側の政策も一緒に考えていく必要があると思っています。すると、当会としてはエネルギー政策が転換した後の需要側の工夫(交通・まちづくり分野)を中心に微力ながらも役に立てる場面もあるのではと思い、MAKE the RULE キャンペーンでのご縁もあって「eシフト」(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)に参画させていただくこととなりました。

当会では今後とも、人と環境にやさしい交通手段がより快適・便利になることで、少ないエネルギーを効果的に使い、いつまでも安心して暮らせるまちづくりを目指して取り組んでゆきます。

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  1. 「eシフト」への参加について ~エネルギー政策は省エネ+自然エネで! http://goo.gl/fb/0MkAI – #SLTc blog #sltc #エネルギー #交通 #環境

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